SPYD 4.71%、SCHD 3.18%。高いほうは、選定が緩いほうだった
高配当の米国ETF、4本並べて調べてみた。今回は「企業の利益と配当が原資」のタイプだけ。分配金の中身が、組入企業の払う配当金そのもの。一番素直な形だ(原資がオプションのプレミアムになるカバードコール型は、別記事に分けた)。
私は個別株で配当をもらう形を続けてきた。銘柄選びを丸ごと任せるETFだと、何がどう違うのか。数字を並べて確認しておきたくなった。
4本の顔ぶれ
顔ぶれは SCHD、VYM、HDV、SPYD。同じ「高配当」でも、銘柄の選び方がかなり違う。
例えるなら、クラスの代表の選び方だ。テストの点数だけで上から並べる先生もいれば、成績も生活態度も見て決める先生もいる。ETFもまったく同じで、「何を基準に選ぶか」で中身が別物になる。
SCHD(Schwab)は面接官タイプ。10年以上配当を続けた企業の中から、財務の指標(キャッシュフローと負債の比率、ROE、配当利回り、過去5年の配当成長率)で点数を付けて上位100社を選ぶ。利回りの高さだけじゃなく「そもそも稼げているか」まで見るから、危なっかしい高利回り銘柄が入りにくい。経費率は年0.06%。30日SEC利回りは3.18%(2026年10月20日時点)だった。
VYM(Vanguard)は対照的。予想配当利回りが平均を上回る大型株を、とにかく広く買う。組入は約605銘柄(2026年6月末時点)と桁違いに多く、経費率は0.04%と最安水準。広く買う分、利回りは2.35%前後と控えめで、最大の組入銘柄は半導体のBroadcom(7.3%)。「高配当ETF」と聞いて思い浮かべる顔ぶれとは、少し違うかもしれない。
HDV(iShares)は約75銘柄と絞り込み型。Morningstarの「経済的な堀(競合優位性)」と財務の健全性の審査を通った高配当株を集めている。比率の付け方も独特で、利回りではなく配当金の支払総額で加重するから大型株寄り。Exxon Mobilが9%超、セクターでは生活必需品とエネルギーが半分以上を占める。経費率は0.08%。SEC利回り3.51%という数字を見かけるけど、これは第三者サイトの掲載値で、運用会社の公式ページでは直接確認できていない。
SPYD(State Street)は一番分かりやすい。S&P 500の中で配当利回りが高い上位80社を均等に買う。それだけ。背の高い順に並べる、あの感じ。財務の質の審査はない。その代わり利回りは4本で最も高く、30日SEC利回り4.71%(2026年9月30日時点、運用会社ファクトシート)。経費率0.07%。組入にはREITが含まれていて、不動産セクターが約4分の1を占める。
並べるとこうなる(利回りは時点と定義がそろっていないので、目安として見てほしい)。
| 経費率 | SEC利回り | 銘柄数 | 選び方 | |
|---|---|---|---|---|
| SCHD | 0.06% | 3.18%(10/20) | 約102 | 財務の質で採点 |
| VYM | 0.04% | 約2.35% | 約605 | 利回り平均超えを広く |
| HDV | 0.08% | 3.51%※ | 約75 | 堀と財務の審査 |
| SPYD | 0.07% | 4.71%(9/30) | 78 | 利回り上位を均等に |
※HDVは第三者掲載値(公式ページで未確認)
利回りの順番と、選定の厳しさは逆だった
並べてみて面白かったのはここ。利回りの高い順(SPYD>HDV>SCHD>VYM)と、銘柄選定の厳しい順が、ほぼ逆になる。
SPYDみたいに「利回りが高い順に機械的に買う」設計は、株価が落ちて利回りが跳ね上がった企業を拾いやすい。業績が悪化して株価が下がり、見かけの利回りだけ高くなった銘柄。いわゆる高配当の罠だ。逆にSCHDやHDVは、利回りを少し犠牲にしてでも減配しにくい企業を選ぶ。どっちが正解という話じゃない。分配金の「出どころの確かさ」と「今の利回りの高さ」の交換条件なんだと思う。
分配は4本とも年4回(四半期ごと)。
日本から買うときの話
実務で一番引っかかったのはSCHDだ。人気が高いのに、日本での届出がないから、日本の証券会社から直接は買えない。代わりに、SCHDに投資する日本の投資信託が2本ある(楽天証券の「楽天・高配当株式・米国ファンド」、SBI証券の「SBI・S・米国高配当株式ファンド」)。信託報酬は年0.12%程度で、どちらも新NISAの成長投資枠の対象。「SCHDが買いたい」と思ったら、実際にはこの投信経由になる。ここ、見落としがちだ。
VYM、HDV、SPYDは米国のETFとして買える。楽天証券の新NISA(成長投資枠)の海外ETF保有残高ランキング(2026年9月)では、VYMが1位、SPYDが4位、HDVが6位。実際に日本から買われている様子が見える。証券会社ごとの取扱いやNISAの対象可否は銘柄ごとに違うので、買う前に各社の銘柄ページで確認してほしい。
税金は「手取り」で見ないとずれる
私が分配金を見るときに一番気にしているのは手取りだ。米国のETFの分配金は、まず米国で10%源泉徴収される(日米租税条約による軽減後の税率)。課税口座では、そこから日本で20.315%がかかる。確定申告で外国税額控除を使えば二重課税分は一部調整できるけど、手間は増える。
NISAなら日本の税金はゼロ。でも米国の10%はNISAでも引かれて、これは取り戻せない。つまり表面利回り4.71%のSPYDでも、NISAでの手取りはその9掛けが上限になる。利回りを比べるときは、最初から1割引いて考えるくらいがちょうどいい。
月給で考えると分かりやすい。額面30万円でも、手取りは24万円くらい。あれと同じで、利回りも「額面」で喜んでいると実感とずれる。
私の見方
甲乙は付けない。ただ、私みたいに手取りの配当を記録していくやり方だと、利回りの最大値より、分配が企業の利益から出ているか、減配しそうな銘柄が選定の段階で外れているかのほうが、長い目では効いてきそうだ。SPYDの割り切りの良さにも惹かれる部分はある。金利が下がる局面でREITの比率の高さがどう出るか、見ていて面白いところだ。
原資がオプションのプレミアムになるカバードコール型(QYLD、JEPIなど)は別記事に分けた。利回りだけ見れば10%前後と段違いに高い。でも原資は企業の配当じゃない。その違いが分かると、高配当ETFの見え方がだいぶ変わる。
主な出典:Schwab、Vanguard、BlackRock(iShares)、State Streetの各公式資料、楽天証券プレスリリース(2024年9月17日)、ザイ・オンライン、@DIME(いずれも2026年10月24日に確認)
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